コレステロールを下げるには

コレステロールの新基準

コレステロールの基準値

実はコレステロールの基準値は統一されていません。
検査機関や学会によって違うものが使用されています。

 

これらの数値は研究の進歩や生活習慣の変化によって、何度か変更されています。
ここでは多くの検査機関で使用されている日本動脈硬化学会のコレステロール基準値を基に、診断基準の変移をご紹介します。

 

2002年、日本のガイドラインの枠組み誕生

1980年代からアメリカで高脂血症のガイドラインが発表・改訂される様になり、日本の臨床においても大きな影響を受けて来ました。
日本も研究を重ね、2002年に日本独自の環境や年齢・性別・疾患などの危険因子を踏まえた「動脈硬化性疾患診療ガイドライン」が発表されました。

 

それまでは研究データが不十分で、総コレステロール値が重要視されており、220mg/dl以上だと高コレステロール血症と診断されていました。
2002年以降はLDLコレステロール値も基準として定められています。

 

【動脈硬化性疾患診療ガイドラインによる高脂血症の診断基準】

脂 質 名

基 準 値

※空腹時採血

病   名

総コレステロール

220mg/dl以上

高コレステロール血症

LDLコレステロール

140mg/dl以上

高LDLコレステロール血症

HDLコレステロール

40mg/dl未満

高HDLコレステロール血症

中性脂肪

150mg/dl以上

高トリグリセリド血症

☆高脂血症とは
血液中に余分な脂質が増えてドロドロになり、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・大動脈瘤・末梢動脈硬化症の原因になる

 

2007年、診断基準に総コレステロール値がなくなる

2007年にはガイドライン名が「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」に変更されました。
また、高脂血症の呼び方も脂質異常症と改められました。

 

これまでは高脂血症の診断基準に総コレステロール値が含まれていましたが、基準から外れました。
研究が進み、動脈硬化にはLDLコレステロール値の方が関連が強い事が分かった為です。

 

【動脈硬化性疾患予防ガイドラインによる脂質異常症の診断基準】

脂 質 名

基 準 値

※空腹時採血

病   名

総コレステロール

基準から除去

LDLコレステロール

140mg/dl以上

高LDLコレステロール血症

HDLコレステロール

40mg/dl未満

高HDLコレステロール血症

中性脂肪

150mg/dl以上

高トリグリセリド血症

 

2012年、新たに改訂

2012年には新たな「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」が発表されました。
脂質異常症の診断と、投薬治療が必要かどうかの判断を区別する為、「スクリーニングの為の診断基準」と名称が改められました。

 

また、LDLコレステロール値を細分化し、新たに「境界域高LDLコレステロール血症」という病名が付きました。
この境界域に当てはまる場合、生活習慣を改善する必要があると意識してもらう為です。

 

【脂質異常症のスクリーニングの為の診断基準】

脂 質 名

基 準 値

※空腹時採血

病   名

LDLコレステロール

・140mg/dl以上

・120〜139mg/dl以上

高LDLコレステロール血症

境界域高LDLコレステロール血症

HDLコレステロール

40mg/dl未満

高HDLコレステロール血症

中性脂肪

150mg/dl以上

高トリグリセリド血症

☆スクリーニングとは
健康な人も含めた集団から、目的の疾患に関する発症者や、発症が予測される人を選別する医学的手法

コレステロール値の国際基準

2013年、LDLコレステロールの国際基準値が190md/dlに統一されました。
また、中性脂肪は1000mg/dlと、どちらも日本の基準値を上回っています。

 

日本ではLDLコレステロールを悪玉コレステロールと呼び、体に良くないものとイメージしがちですが、アメリカには悪玉という概念自体がありません。
コレステロールや中性脂肪の数値が高い方が長生き出来るという研究結果もあり、生命の維持に欠かせないものと認識されています。

日本人間ドック学会の新基準

2014年4月、日本人間ドック学会が新基準案を発表しました。

 

現在、基準値が統一されていない為、健康かどうかの判断が難しく、混乱が起きるという問題があります。
また、従来の基準値は国際基準に比べて厳しく、「コレステロール値が低い方が健康に良い」と誤解を与えるという意見も挙がっていました。

 

これらを踏まえ、全国で統一した新基準値を適用しようという動きが生まれたのです。
日本人間ドック学会が健康保険組合連合会と共同で、約150万人の人間ドックの健診データを調査し、新しい基準を提案しました。

 

【日本人間ドック学会発案の新基準】

 

従来

※男女同一

男性

女性

(30〜44歳)

女性

(45〜64歳)

女性

(65〜80歳)

総コレステロール

140〜199mg/dl

151〜254mg/dl

145〜238mg/dl

163〜273mg/dl

175〜280mg/dl

LDLコレステロール

60〜119mg/dl

72〜178mg/dl

61〜152mg/dl

73〜183mg/dl

84〜180mg/dl

中性脂肪

30〜149mg/dl

39〜198mg/dl

32〜134mg/dl

左に同じ

左に同じ

 

従来との違いは性別によって基準値が分かれていて、更に女性は年代別になっている事です。

 

女性の数値が年代が上がるにつれて高くなっているのは、閉経後に女性ホルモンが低下し、免疫を補う為にコレステロール値が上昇するからです。
コレステロール値が高くなっても、男性に比べて心筋梗塞や脳梗塞の発症率は男性より低いというデータが出ています。

 

また、全体的に従来の数値よりだいぶ緩く設定されています。
これまで危険値と診断されていた多くの人が問題なしとなります。

 

これによって生活習慣や健康状態への影響が心配されますが、膨大な健診データを基に分析されているので、従来の基準値よりも現代人の生活習慣に合っているのかもしれません。

 

導入は未定

この新基準は2015年に導入予定でしたが、日本動脈硬化学会や医師会などから反論が出た為、現在も導入されていません。
これは健診(健康か否かを確かめる)と臨床(医療の現場)の考え方の違いが大きい事が関係しています。

 

反論を受けて、日本人間ドック学会は「現在のデータは単年度の結果による為、数年間かけて追跡調査をして結論を出す」と説明しています。
コレステロール値と病気の直接の関連性はまだはっきり解明されていない為、将来導入されるとしても長期的なスパンになりそうです。

 

まとめ

コレステロール値は体質・年齢・性別などによって大きく異なるので、基準値自体に意味がないという意見も近年、出始めています。
治療の必要性を直接判断するものではなく、健康度合いを知る指標と位置付けるのが正しいのかもしれません。

 

基準値を少し上回っても、すぐに慌てる必要はありません。
生活習慣病の予備軍という自覚を持ち、生活習慣を改善して行きましょう。
適度な運動・正しい食生活・十分な睡眠を心がけると健康になり、他の様々な病気も予防する事が出来ます。

ホーム RSS購読 サイトマップ